衛生環境管理と改修施工

技術・サービス情報コーナー

食品の安全・衛生を脅かすさまざまなリスク要因。これらをいかに低減するかが食品工場にとっての大きな課題です。特に食中毒などの事故を引き起こす原因物質をHACCP管理では「危害要因」とし、その分析や管理方法などが定められています。
その原因となる物質(危害要因)を大きく分けると、カビや細菌などの「生物学的危害要因」、マイコトキシンなどの自然毒や使用禁止や規定上の添加物、偶発的な混入による薬品などの「化学的危害要因」、金属や石、あるいは昆虫や小動物、人体から排出される毛髪や衣類クズ等など「物理的危害要因」があげられます。作業者による衛生管理の徹底だけでなく、施設環境の整備や維持管理、設備などの視点で対策をたてることも重要です。

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食品衛生管理手法について

食品衛生管理には、5S(整理、整頓、清潔、清掃、しつけ)+2S(洗浄、殺菌)を中心とした日常の一般的な衛生管理から、HACCPなどの衛生管理手法、AIBによるフードセーフティ指導や監査システム、ISO22000やFSSC22000などの国際認証など、さまざまな手法やシステムがあります。食の安全を確保するため、その工場でどのような管理手法が適しているのか、目的(教育、認証取得、イメージアップ)や条件(工場のシステム構成や規模、従業員等)を十分に踏まえて選定することが重要です。

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より安全で衛生的なHACCP対応工場を実現するためには、施設・設備の衛生管理や衛生教育といったソフト対策と衛生管理をしやすくするためのハード対策(建築・設備技術)の両輪で取り組む必要があります。特に微生物、虫、異物混入などの汚染要因は、管理面だけで防ぐことは困難であり、建築計画や建材、内装ディテール、設備などさまざまな対策手段を施すことがポイントになります。

微生物対策 結露防止
  • 断熱性の向上
  • 高湿度環境の防止、換気、空気循環、除湿
カビが発生しにくい環境
  • カビが発生しにくい建材の採用
    (撥水性、防汚性、抗菌性)
  • 発生水分の除去:局所換気の徹底
  • 低温環境
  • 湿度制御(相対湿度65%以下)
防虫対策 外部からの侵入防止
  • 建物の高気密化、開口部の遮断性、隙間の除去
  • 前室の設置
  • 忌避作用(防虫フィルム、黄色蛍光灯)
  • エアーカーテン
増殖防止
  • 原料保管庫などで住処となりそうな納まりを無くす
  • 清掃しやすい環境をつくる
  • 水溜まりを無くす、コンクリートのひび割れをなくす
  • 排水桝、配管内部での発生防止(清掃しやすい構造)
駆除
  • 捕虫器の設置
異物混入対策 外部からの流入
  • エアカーテン
  • エアバランス
    (汚染区域から清潔区域に空気の流れをつくらない)
交差汚染、接触の防止
  • 適切な動線とゾーニング計画
  • オートスライドドア(接触による汚染防止)
  • 手洗い、消毒設備の設置
塵埃堆積防止
  • 塵埃が溜まりにくい内装ディテール
    ドア枠のテーパー、立て配管、盤や空調機の壁埋め
  • 清掃しやすい内装材量、ディテール
塵埃の除去
  • 集塵機の設置
  • 空気清浄(フィレドン、中性能フィルターの設置)
  • ソックダクト空調の設置
人体からの異物拡散対策
  • エアーシャワー
  • ローラー掛け、塵埃集塵機
  • 手洗い、消毒